大規模修繕工事とは

WHAT IS LARGE-SCALE RENOVATION WORK

マルリョウは大規模修繕工事を、悪い部分を補修するだけではなく、物理的劣化・機械劣化・社会的劣化を考慮し、安心・安全・快適な暮らしができるよう、マンションの資産価値も高める工事と考えています。

大規模修繕工事の
着工から完工まで

共通仮設とは、マンションの改修工事に直接関係しませんが間接的に必要な現場事務所、トイレ、道具洗い場、資材置場、職人さんの休憩所などのことをいいます。

STEP
1

妻壁(バルコニーのない端の外壁)、階段や手すりの外側など、足場なしでは作業できない場所での作業用に、仮設足場を組み立てます。足場の設置後、足場の周囲に飛散防止のためのメッシュシートを張ります。

STEP
2

コンクリートやモルタル、タイルなどのひび割れ、コンクリートの爆裂(はく離)など躯体(下地)が傷んでいる部分の調査を行い、補修部分にマーキングします。マーキングに従って、補修工事を行います。また、補修箇所はしっかりと記録に残すことで、次回の大規模修繕工事に向けた貴重な財産にもなります。

STEP
3

劣化した古いシーリングをはがし取り、新しいものを充填する打替えがシーリング打替え工事です。

STEP
4

外壁や天井、床などを高圧水などで洗浄して汚れを除去します。

STEP
5

外壁塗装工事の目的は、美観を保つだけでなくコンクリートを保護することにあります。基本的な工法としては、現状の塗装の上に新しい塗料を塗ります。

STEP
6

メーターボックスの扉や玄関扉の枠、換気ガラリなどの金属部分だけではなく、パーテーションボードや樹脂天井などの非金属の部位についても必要であれば塗装を行います。

STEP
7

防水工事はお部屋の中などに水が入らないようにするために行います。主な工事箇所は屋根(屋上)、ベランダ、ルーフバルコニー、廊下などです。バルコニーはウレタン防水、開放廊下は塩ビシート貼りが多くみられます。

STEP
8

足場解体前検査を行い、不具合があれば手直しを行います。手直し完了後に足場解体作業に入ります。

STEP
9

竣工検査とその手直しを行い、現場事務所等の共通仮設物を解体・撤去し、竣工図書を引き渡して工事は竣工となります。

STEP
10

大規模修繕工事までの流れ

FLOW

1.大規模修繕工事の
必要性を認識する

建物の経年劣化は避けられません。放っておくとマンションの美観や居住性を損ねるだけでなく、資産価値を落としてしまいます。マンションの資産価値を維持するために大規模修繕工事が必要になります。
理事会から、設計会社もしくは施工会社に事前調査や建物診断を依頼し、調査結果に基づいて適正な工事内容・時期を検討・協議して決定します。

2.管理組合で体制を
整えましょう

理事会・総会にて大規模修繕工事の実施を決定したら、専門委員会(修繕委員会)を設立します。
ここでは大規模修繕工事の進行計画を決めていきます。

3.大規模修繕工事の進め方には
大きく3つあります

管理組合で工事(施工)会社を選定します。

大規模修繕工事の施工実績において豊富な経験に基づき適確な提案ができる。

工事実績がある会社に委託・依頼をしないと、工事金額が安くても施工品質が期待水準に届かない可能性もあります。(アフター体制も要確認)

  • 責任施工方式

企画・設計から工事までを一貫して施工会社に発注する方式です。塗装・防水工事から実績を長期に作り、そこを基礎として大規模修繕工事専門で営んできたマルリョウでは、責任施工方式の実績も多数ございます。管理組合とのコミュニケーションをしっかりとりながら、ご満足いただける提案をさせていただきます。また、工事完了後も定期的に点検を実施し、理事会に報告するまでを業務フローとしています。

4.建物の調査・診断

工事(施工)会社に建物調査を依頼します。

5.修繕の基本計画作成

工事(施工)会社より診断結果に基づき、推奨仕様の提案・工事金額の提案を致します。

6.修繕工事の設計

工事(施工)会社より、基本計画をもとに打合せを重ね、仕様の決定および設計予算の作成を行います。

7.工事(施工)会社決定

工事(施工)会社より提案された工事金額が適正かどうか、相見積などによって判断します。

8.資金計画を確認

工事(施工)会社から、工期や工事金額、支払時期などの説明を受け、資金計画を理事会・修繕委員会等にて検討します。

9.総会開催と決議

工事実施の可否、工事時期、工事金額(支払時期を含む)について、総会で審議します。

大規模な修繕工事はマンション居住者の方の日常生活に大きな影響を与えます。工事スケジュール・内容とともに、居住者の方が被るデメリットもしっかり認識してもらいましょう。

10.工事契約を締結

工事(施丁)会社と契約書を取り交わします。

11.工事を実施

理事会・修繕委員会等で工事責任者の報告を受けながら工事が予定通り進んでいるかを確認しましょう。
工事責任者と工事項目の詳細、スケジュールを確認し、スケジュール通り工事が進行しているかをチェックします。さらに居住者への告知も徹底して行いましょう。

12.工事完了を確認

理事会・修繕委員会で修繕プランと照らして確実な工事が行われているかを検証し、工事完了引渡し書を取り交わし、竣工書類を確認しましょう。
追加工事が必要になった場合、文書での確認を行う必要があります。

13.アフター点検を実施

竣工後も定期的な点検とメンテナンスが必要です。

大規模修繕工事と診断の必要性

NEED FOR DIAGNOSIS

マンション修繕の周期の目安

建物を長持ちさせ、マンションに長く快適にお住まいになるためには定期的な修繕や改修を行い、マンションの機能や性能を維持し、向上させていくことが必要です。(自然条件により、異なることが多いです。)
大規模修繕工事の周期は10年から15年が一般的です。マンションの状態に応じた適切な改修計画を立案するためには、マンションの劣化状態を把握する正確な診断が必要です。マンションでは第一回目の大規模修繕工事を控えた10年目に差し掛かるあたりが最初の診断適齢期です。

1回目の大規模修繕工事について

1回目の大規模修繕工事は、マンションを新築時に近い状態に回復させることが主な目的となります。初めて大規模修繕工事を
経験する方が多く、何から手をつければいいのか戸惑うことも多いかもしれません。提案する側も、される側も不慣れなまま計画は進んでいくことになります。そこでまず必要以上のトラブルがおこらないよう、大規模修繕工事についての情報収集や基礎知識を学ぶことが有効と言えます。

工事のみを実施することがほとんどです。1回目の大規模修繕工事は、2回目や3回目よりもコストカットしやすい特徴があります。まだまだ建物の劣化度合いが少ないため、必要最低限の修繕で済むことが多いです。施工会社が望む全体の修繕を、必ずしも行う必要はありません。使用頻度の低い設備や、風雨の影響を受けない箇所などは、2回目の大規模修繕工事まで先送りすることもできるでしょう。どの箇所の補修が必要なのか見極めることで、費用を削減しやすくなります。

1回目の大規模修繕では、以下のような工事を行うのが一般的です。

  • 外壁塗装

外壁を塗り替えると、見た目が良くなるだけでなく、雨水や紫外線などによる建物の劣化も防げます。下地の塗料の付着力が弱い場合は、塗料を除去してから塗り直します。

  • タイルの補修

タイルは経年劣化で、下地から浮いたりひび割れたりすることがあります。この部分から雨水が入り込み、コンクリートにダメージを与えてしまいます。こうした事態を避けるには、目視だけでなく打診も使ってタイルの不具合を確認することが必要です。

  • 鉄部の塗装

手すりや扉など鉄が使われている部分は、経年で錆が発生します。錆びを放置すると見た目が悪くなり耐久性も低下し周りの接触部分にも影響するので、再塗装する必要が出てきます。サンドペーパーやワイヤーブラシなどを使って錆びを落とした後に、錆止めを塗って上塗り二回塗り保護します。

  • シーリングの打ち替え

外壁の継ぎ目やサッシに使われるシーリング材は、経年劣化でひび割れてきます。この状態を放置すると、雨が侵入してきて雨漏りの原因になります。シーリング材を打ち替えると建物の気密性が高くなるので、断熱性能もアップするでしょう。

  • 防水工事

シート防水や塗膜防水といった工法を使い、建物内部への水の侵入を防ぎます。しっかりと防水されていないと建物内部に雨水が侵入し、マンションの劣化を早めてしまいます。

  • 施工不良の改善

新築時の施工不良が原因で起こる不具合も、1回目の大規模修繕工事で改善させます。
例えば「コンクリートの打設不良」。
コンクリートが十分に充填されていないと、内部に空洞ができてしまっている可能性が高いです。この状態では耐久性はもちろん、表面の塗装やタイルにも悪影響が出やすくなります。
また、本来はコンクリートの中にあるはずの鉄筋が露出してしまっていることもあります。原因は様々ですが、露出してしまっている鉄筋は非常に錆びやすく、マンションの劣化も早めてしまいます。こうした症状も、大規模修繕工事の際に改善することが非常に重要となります。

1回目の大規模修繕工事では、次の点に注意して計画を立てましょう。

  • マンションがある
    環境に合った修繕をする

修繕する箇所が少ない傾向にある1回目の大規模修繕工事でも、マンションがある環境によっては思わぬ不具合が発生している場合があります。特に湿気の多い地域や海沿い地域、工場地帯では想像以上にメンテナンスが必要になる場合も。結露や海風によって錆が発生していたり、排気ガスや工場の煙で外壁が汚れていたりします。
修繕プランを立てる際は、マンションがある環境も考慮してオーダーメイドのプランを立てることが必要です。ただし1回目の大規模修繕工事では、そこまで深刻な劣化が発生しているケースは少ないので、心配しすぎる必要はありません。

  • マンション居住者の協力が必須

組合員は必ずしも積極的に参加してくれるわけではありません。1回目の大規模修繕工事は、積極的に参加する協力者を見つけるのが難しい場合が多いです。そこで、マンション居住者と、できるだけ多くコミュニケーションを取りましょう。マンション居住者が協力しやすい雰囲気作りが大切です。組合員の意見が多く集まれば、マンション居住者の意見が反映されやすくなり、工事する箇所が把握しやすくなります。また「修繕積立金が適切に使われているか」というマンション居住者の不安を解消することも、マンション居住者が協力しやすい雰囲気作りに役立ちます。

2回目の大規模修繕工事について

築20年を過ぎてくると、雨や紫外線などの影響で建物が本格的に劣化していきます。2回目の大規模修繕工事は、1回目よりも広範囲の工事が必要になるでしょう。
ここでは2回目の大規模修繕工事の特徴や工事内容、注意点について見ていきます。

2回目の大規模修繕工事では、以下のような工事を行うのが一般的です。

  • 屋上防水

屋上防水全体の修繕が必要になるでしょう。屋根が付いている場合は、まず屋根材を撤去してから修繕するので、1回目の部分的な修繕よりも費用が高くなる傾向にあります。

  • 駐車場

消えた白線を引き直したり、路面が陥没している場所を補修したりします。また、機械式駐車装置の取り壊しをする場合もあります。機械式駐車装置はメンテナンスが大変だったり、入庫できる車のサイズに制限があったりします。これらを解消するために、平置きの駐車場に変える工事が行われる場合もあります。

  • 消防用設備

消火器やスプリンクラーなどの消防用設備にも経年劣化が見られるようになり、定期点検で不具合が指摘されるようになります。いざという時に使えなくならないよう定期的な交換が必要です。

  • 金物類

郵便受けや共用の掲示板、アルミサッシなどの金属部分は錆の発生や破損が見られるようになり、交換が必要になるケースが多いです。

2回目の大規模修繕工事では、次の点に注意して計画を立てましょう。

  • 工事箇所や費用が1回目よりも増える

2回目の大規模修繕工事は、1回目よりも工事する箇所や金額が高くなる傾向にあります。マンションの寿命は60年前後と言われています。2回目の大規模修繕工事を行う時期は大体、中間ポイントと言ったところですね。場合によっては、思ったよりも劣化が激しい箇所が見つかるでしょう。

  • 費用が不足しやすい

新築で販売されている時は、修繕積立金が「1回目の大規模修繕工事まで」と設定されていることも多いです。マンションの販売価格が高く見えないように、できるだけ「修繕積立金」を少なく提示しているのが大きな理由です。修繕積立金とは、マンション所有者から集められる費用のこと。毎月1~1.5万円ほどを積み立てるのが一般的です。物価や人件費が上がると、それに合わせて修繕積立金の金額も上がります。修繕積立金は時代背景の影響を受けることも覚えておきましょう。
「大規模修繕の費用が十分に集まるかどうかは管理組合による」と言えますが、費用の不足を避けるには、定期的に長期修繕計画を見直すのが有効です。

必要に応じて、上記のような対策をとることも考えてみましょう。